全農高知県本部 農畜産部 農産販売課 元吉秀典さん
さわやかな文旦ならではの甘さをぜひ味わってください。
高知県は太平洋に面した広い海岸線が南部にあり、なかでも海の彼方の地平線まで見通せる桂浜は高知を代表する景勝地となっています。このように海のイメージが強い高知県ですが、北部には四国山地が連なり、海と山に育まれた自然豊かな県となっています。
桂浜以外にも足摺岬や四万十川などの景勝地は多いのですが、とりわけおすすめしたいのは仁淀川です。仁淀川は高知市内から車で約30分ほどと近い場所にありながら、水質は全国1級河川のランキングで1位となるほど澄んでいて、その水の色から「仁淀ブルー」なる言葉も生まれ、その評判を聞きつけて観光で訪れる方も増えてきました。私も子供の頃、何度も泳ぎに出かけたことのある馴染み深い川なんです。流域には釣りやカヌーなどの施設もあり、川辺を散策する以外にもさまざまな楽しみ方があるでしょう。
高知の郷土料理と言えば、外すことのできない定番の鰹のたたきですが、最近では「鰹の塩たたき」が人気です。一般的な鰹のたたきと同様に藁で焼き上げた鰹の身に天日塩とゆず果汁、にんにくやわさびといった薬味などを掛けるというもので、新鮮な鰹が持っている旨味を存分に堪能いただけます。高知県を訪れた際は、ぜひお試しいただきたいですね。
高知県はハウス栽培が盛んな園芸王国とも呼ばれていまして、なすやみょうがといったハウス栽培による農産物は全国1位のシェアとなっています。年間平均気温は約17℃と比較的温かくて過ごしやすいのですが、2014年の8月は台風の影響で雨が続き、農作物によっては日照不足に悩まされることもありました。しかし、その後は天候も回復し、1月末から収穫が始まる文旦は地元農協職員も太鼓判を押すほどの出来映えになるのではないかということです。
文旦の味は、さわやかな甘さに加えてほどよい酸味と苦味を感じられるのが特徴です。収穫直後は酸味が強いのですが、出荷前に追熟を行うことで酸味が抑えられ、甘みが増してきます。地元高知での食べ方は剥いて食べるのが一般的です。皮がやや厚いので剥きづらいのですが、ナイフで切り分けてもらってもいいでしょう。
最近では手軽に皮が剥けて、中の薄皮に切れ目を入れられる皮剥き器「ムッキ〜ちゃん」を利用する人が増えています。価格も300〜500円程度と安価で、店頭で箱買いした際に「ムッキーちゃんをおまけで付けてくれないか?」とおっしゃるお客様もいらっしゃるようです。
文旦を使った調理では、果肉をサラダなどに和えるほか、加熱してマーマレードやジャムなどの加工食品にするのが一般的です。さらに一風変わった調理法では、カレーの具にしてさっぱりとした味に仕上げるという方もいらっしゃるようです。お勧めの文旦のサイズはソフトボール大の3Lサイズですね。味はサイズで変わりませんが、このサイズは見栄えが良く、贈り物にも最適です。高知以外ではあまり馴染みの少ない果物ですが、物産展や通販などで見かけた際はぜひ一度、文旦が持つ独特の甘味や酸味をご賞味ください。